オペラ「ジャンニ・スキッキ」
【人物名】編


オペラの登場人物名はそれぞれのキャラクターを象徴する意味を含んでいる場合が多い。
この「ジャンニ・スキッキ」も人物名を調べていくと、とても面白いことに気付いたのでここに紹介する。

【ジャンニ・スキッキ】
Giovanni:ヨハネ(十二使徒の一人)
※ジャンニの名はおそらくGiovanni=ヨハネからとられている。
 ちなみにフィレンツェの守護聖人はヨハネ。


【ラウレッタ】
L'aura-etta:(aura=)そよ風、(-etta=)「縮小」「親愛」の意
※欲深い登場人物たちの世界にサラッとそよ風を吹き込ませる存在。
 アリア「私のお父さん」はこのオペラの中でも最も純粋で美しい。


【ツィータ】
Zita:ツィーテ(マカロニより太めの穴あきのパスタ)
※身体や態度ばっかり図太くて中身が空っぽのツィータの様子を見事に表している

【シモーネ】
Simone:シモン(使徒ペテロの前名;十二使徒の一人)
※聖書では「シモン」は『聴き従う者、従順な人』という意味である。
 最もキリストに従順だったペテロと同名。ペテロは裏切り者を許さない人間だったらしい。
 シモーネにとってブオーゾやジャンニの裏切り行為は絶対に許せないことだっただろう。


【マルコ】
Marco:マルコ(聖書「マルコによる福音書」の著者)
※マルコ自身はキリストには会ったことはなく、
 「マルコによる福音書」はペテロから聞いたことを忠実に記述したものであるらしい。
 何か問題が起こるとすぐに父シモーネを頼るマルコ。
 ペテロとマルコの関係のように、彼は父の意思を何よりも最優先する。


【チェスカ】
Ci-esca:(ci=)私たちに,を、(esca=)餌、誘惑/uscire(「出る」の意)の接続法
※ジャンニにこっそり商談を持ちかけたときに、一番多い額を提示するチェスカ。
 その後の三重唱では「卵がヒナに、花は実になる」と彼女は歌う。
 高額な餌が結果として大きな収穫になることを彼女は知っている・・・が、
 現実にはむしろ彼らがジャンニの餌にされてしまう。


【ゲラルド】
Gherardo=Gerardo:男子の名
※あまり意味のある内容を見出せませんでした。
 普通の人・・・という意味だろうか?
 『Gheremia』なら旧約聖書のエレミアという意味なのだが。


【ネッラ】
Nella:(in+la)〜の中に
※この親族たちの中にうまく溶け込める・・という意味か?

【ベット】
Bettola:安酒場
※ブオーゾの遺産の噂を聞きつけて現れる。
 どうも安酒場に入り浸る浮浪者のイメージがある。



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