歌曲「道端の花」 作詞・作曲:古沢利人


【歌詞】
帰り道咲いてた この花に見とれて
青空のことを 一瞬忘れた

この花の気高さ いとしく輝く姿
なんだか似ているお前に また会いたくなった

心地よい風が 花びらを揺らした
それを見て僕は 再び歩き出す

春に香る風は 音も立てずに立ち止まる
「さよなら」言われた気がして 切なくなった




【解説】
その年、12年間飼っていた猫のノンノンがこの世を去った。
悲しみに暮れて仕事に出かけた車の中で、
メロディと言葉が同時に頭の中にあふれるように浮かんだ。

その曲は「返事」というタイトルがつけられ、完成した。
ところがその曲はあまりにも内容が直接的すぎるし、
第一歌うと僕自身が泣いてしまうため発表を控えた。

そこで改めて、発表に耐えうる曲を書こうと決意する。そして歌曲「道端の花」が完成する。
この曲も「返事」同様、まずイメージとして景色を頭に浮かべたら、詩と音が一気にあふれ出た。
スケッチは30分ほどで出来上がり、仕上げも2時間ほど。
筆が止まることはなく、手直しする部分も一切なかったように記憶している。

完成した「道端の花」は一見するとラブソングのようにも受け取ることができるし、
曲も誰でも親しみを感じてもらえるよう、簡素にした。
Moderato con brio 4分の4拍子:Des-Dur
1小節だけ4分の5拍子が挿入されていたり、7度和音、9度和音を多用しているが、
不思議と違和感は全くなく聴くことができる。

芸術歌曲としてはあまりにも簡素であり、作曲者本人としてはポップス音楽のような気楽さで聴ける曲を目指した。


※参考
歌曲「返事」 作詞・作曲:古沢利人
【歌詞】
ひとりぼっちで さびしくないですか?
いつかは行くので 待っててください
生き続けることは とても大変だけど
君に会える日を楽しみに 頑張って生きます
君のいたこの街で 君のいない今ここで
懐かしいこの歌を 口づさんで泣いた

最後の夜は 一晩中
僕の声に返事していた 君の瞳
君はいま どこにいるの? 僕のこと覚えてる?
お願い最後に教えて
僕はいつか君と もう一度会えるよね